老舗企業としての事業革新
当社は大塚産業グループとして、創業から300年にも及ぶ歴史の中で事業を継承しております。
その300年で培ってきた当社の技術革新は現在の新たな挑戦につながっております。
1700年代初頭、大塚産業として、現在の本拠地でもある滋賀県長浜市に置いて、麻蚊帳の生産を開始しました。
当時のままでは、今の大塚産業はありません。当社の技術革新は、環境の変化に対応できる柔軟性にございました。
写真はイメージです
麻蚊帳の需要が落ち着いてきた1900年代、当社は住宅環境の変化を通じて、住宅用の壁紙の一貫生産を開始しました。
当時、麻蚊帳を生産していたころから、織物生産技術を住宅のニーズに展開いたしました。
そこからその技術開発力のもと、トヨタ自動車工業株式会社様のトヨタ住宅の指定壁紙となりました。
そこから様々な住宅メーカーへの納入が開始され、その技術は現在の同グループ会社であります大塚産業インテリア株式会社の事業として展開しております。
トヨタ自動車工業株式会社様に向けて織物技術を展開していたことから当社としての技術力を評価していただき、シートカバーの生産、さらにエアーバッグの袋の開発に取り組ませていただいておりました。
グループ分社前、1970年にトヨタ自動車様向けのヘッドライニング(天井)の生産が開始され、そこから現在もお取引しておりますお客様へ自動車部品(自動車シートの補強布・ヘッドレストカバーなど)の納入が開始されました。
1987年、大塚産業は4社に分社し、その自動車関連事業を中心とした「大塚産業マテリアル株式会社」が設立されます。
ここから、大塚産業マテリアル株式会社としての技術革新が始まります。
かつてより縫製技術を培ってきた当社は、今日まで、ヘッドレストカバーだけではなく、自動車シートに使用されるウレタンパッドの補強布を製造しております。
かつては1枚のシートを裁断し縫製することで、自動車シートの立体形状を再現しておりました。
ただ縫製加工により再現できる立体形状には限界があり、このままいくとシェアを存続できないのではないかという状況でした。
そこで当社が挑戦したことが、不織布の成形技術です。
2004年より、連続成形機を導入し、試作段階での3D-CADによる成形技術の開発を開始いたしました。
不織布を1枚のシート状から成形することによって、どんな複雑な立体形状も再現することが可能になったのです。
かつての縫製技術に比べ、仕入れたロール状の材料を流し込み、そこから一貫してモノを製造することが可能になるため、生産リードタイムの大幅な短縮が実現しました。
ウレタンパッド補強材は、量産に至るまでに試作が度重なり、形状が変わることがほとんどです。
ただ当社は受け身の試作をするだけではなく、蓄積した経験と知識に基づく提案力にも優れていると自負しております。お客様の要望に対してそれ以上にお応えができるよう成長してまいりました。
当社の提案力は「ベストサプライヤー賞」といった表彰などの形で評価されており、現在では縫製品・成形品を合わせた国内自動車約7割(当社調べ)のシェアを維持することができております。これらは当社が培ってきた提案力と技術力を裏付ける客観的な事実といえます。
そこから、当社の成形技術は自動車だけでなく、また不織布だけでなく、幅広い用途へ展開してまいりました。
不織布のようなフェルト素材を活用したパッケージ品は、国内での評価はもちろんですが、海外でもご評価いただきました。
さらにPET再生材を50%活用した材料を使用することで、環境にやさしい製品になっております。
当社が仕入先の材料メーカーと強いつながりを持つことで、お客様へ提案する材料の幅も広がり、様々な用途開発を展開することができます。
この成形技術に関しては、不織布だけではなく、あらゆる熱可塑性素材の成形が可能なため、発泡PEやフィルム、また樹脂シートなどの成形も可能となりました。
現在では発泡PEを成形したプラグインハイブリッドカー(PHEV車)に使用される燃料タンクの断熱カバーに使用されております。
他にも、吸音や生分解性など機能を持った素材を活かし、機能性を損なうことなくカタチにすることが可能です。
また新たな技術開発として、まだまだ開発段階ではありますが、繊維の状態から一気に成形品まで製造できる「ウォータージェット成形技術」の開発に取り組んでおります。
このように、当社は今日まで幾度となく技術革新を繰り返してきました。
挑戦を怠る企業に明日はありません。当社はこれからもお客様のニーズにお応えできるよう、様々な技術革新に挑戦してまいります。
当社はこれから、キーテクノロジーである不織布成形技術を、主力の自動車分野に加え、鉄道、オフィス家具、建築・土木、医療・介護など、さまざまな分野に展開してまいります。
さらには「進取の気性」をそなえ持ち、さらなる新しい価値を創造してまいります。
また「三方よし」に「作り手よし」「未来よし」「地球よし」を加えた「六方よし」の精神を念頭に置き活動してまいります。